古来より、日本には自然を崇拝し、神の前に枝を立てて飾る風習がありました。枝は「神の依代」とされ、神が宿る神聖なものでした。
仏教が伝来してからも、仏前に花や枝を飾る風習は続きました。室町時代になると、仏前に花を生けるのが専門の花僧が池坊に誕生。安土桃山時代には、「定型」「立華」の池坊と、茶道の千利休が考案した「非定型」「自由」の茶花が、美を競い合いました。
江戸時代以降、このふたつが混ざり合い、いけばなは庶民的な文化となって、多数の流派が生まれました。それぞれの流派は、様々な「花型」を定め、調和の美、引き算の美、余白の美を追求していきました。
■池坊
■小原流
■草月流
■池坊
室町時代から続く、最も歴史ある最大流派。華道のすべてが池坊から始まっている。花型「立華」が集大成で、花型は1ミリの狂いも許されない。免許取得し自身の教室を開くまで最短10年程度。証書料金や申請料金は支部により異なり非公開。(2025年6月現在)
■小原流
明治時代に、薔薇など洋花に合う花型「盛花」を発表、人気となった。時代に合った花型を追求しているが、花展などで大きな水盤を使うイメージが強く、やはり「盛花」の小原。教えられる資格取得まで最短2〜3年程度。証書料金などは公開されており明確。
■草月流
1927年、初代家元勅使河原蒼風が創流。いけばなといえば「定型」だった時代に、「自由花」を提唱、型にとらわれない自由が人気を集め、戦後、爆発的に門下生を増やし、三大流派の地位に上った。「花は生けたら、人となる」が格言。師範取得まで最短2〜3年程度。証書料金など公開されており明確。